読書タイム・またSFばっかり読んでる

 高円寺のアール座読書館に行った。積読がやたら溜まっているのだが、家にいると作業とかスレイザスパイアとか作業とかスレイザスパイアをやってしまうので、今年は能動的に読書タイムを作らねばなるまい。

新年は正月休みの間、『人類皆殺し』を明け方までかけて一気読みしたりしてたんですけど……

『人類皆殺し』はタイトルこそ物騒だがずっと読みたくて探していた本で、めちゃくちゃ良かった。古書店で店番のおばさんに「あらっ、スゴいタイトルの本ね」と言われてちょっと恥ずかしい思いをしたくらい物騒なタイトルだが、内容も……文字通り原題通りのThe genocideがいろんな意味合いにかかっていて……めちゃくちゃ良かったな。殺伐陰鬱とした美しい文学の読み心地だった。

トーマス・M・ディッシュ、初めて書いた長編がこれなのか。他の著作も片っ端から全部読みたい。

小学生の頃に『いさましいちびのトースター』を読んで育ったので、あの中にうっすらと漂っていたシニカルさとか、鳥の目線のように人間世界を俯瞰して描く雰囲気とか、人類へのある種の諦めと愛とか、そういうのをますます濃厚に感じました。



アール座はむかし音ゲーマーだった頃に行ったことがある。前回は本を持っていかなかったので、棚に刺さっていた手塚治虫全集を読んで過ごした気がする。

当時は高円寺の駅前にあるCUBEというゲーセンによく通っていた。CUBEまでの道は足が覚えていたはずだが、今、ゲーセン以外の目的で高円寺に来ると駅前のようすがさっぱりわからない。どっち口だったっけ? うろうろと商店街を歩いていると、通りすがりの道端で会話しているビジネスマンのスマホが鳴り、ナイトライダーのテーマが流れた。知ってる曲が思いがけない場所から急に聞こえると人はビビる。バラエティ番組を見ているときにHALOのメインテーマが流れるくらいビビる(一時期、なぜかよくかかっていた)。「えっ!?」と声を上げそうになった。



私語厳禁の特殊空間であるアール座、久々に訪れると『ただ読書に集中できる』という場所の貴重さを思い知る。今回は当時からずっと気になっていた水槽席に着けて嬉しかった。藻に絡まるえびが透けててかわいい。

アール座読書館に行った人の8割くらいが「うわーっ自分ちの中こんな感じにしたい! 俺も書斎がほしい!」と夢見ると思っているんですけど、どうですか?

部屋の中に読書スペースを作ったらいいんだろうか。でもスレイザスパイアが手の届くところにある限り、やっぱ自室はアール座にならんよな……


そんなスーパーブースト読書環境で、ハーラン・エリスンのまとめたアンソロジー『危険なヴィジョン』の1巻を読み始めた。エリスン、全編に解説書いてて楽しそう。前書きが収録作の短編より長くて笑った。

なにしろ収録作の全てが書き下ろしで、書いてる人たちも当時の最前線で活躍する作家ばかりという「俺の考える最強のアンソロジー」なんだからもう……原稿届いた時めちゃくちゃテンション上がっただろうな……

まだ本の全部は読めてないけど、『火星人が来た日の翌日』があとがきも含めてすごく良かった。多くを語らずとも、言わなければいけないことは全部書いてある。
『マレイ・システム』もこの設定だけで話がいくらでも膨らみそうで良い。今どきの物語でも見かけそうな……というか、なんか身に覚えがあるというか…… このアンソロジーのテーマ『危険なヴィジョン』の通り、ここに書かれたのが当時最先端を見据えるアイデア、近い将来への警鐘だったと考えるとさらに味わい深い。現実の問題から生まれた新しい発想が、「よくある王道のやつ」として脈々と受け継がれているのかもしれない。

1967年にこのアンソロジーが出ているという事実に天を仰ぐしかない。うひゃー。