SOUND OF REDあとがき/文学フリマ東京40に出ました
SOUND OF REDの話
ゲームを遊んでくださった皆様、ありがとうございます! 紅狐(realkey)です。
ゲームボーイ風の作品が作れるGB Studio製のゲームも今回で3本目。
前作『TO:NORTH』前前作『DON’T SAY YES』も何卒よろしくお願いいたします。
赤か青かで、なんでサウンドオブ青じゃなくてサウンドオブ赤なの? あ、紅狐だから? ……じゃなくて、『SOUND OF RED』とはつまり『警鐘』みたいなニュアンスです。
でも、テーマに対してあんまりお説教ぽさが前面に出ないといいなあ。ということで、今回はシチュエーションコント風の軽さというか、明るくさっぱり・気軽に肩の力を抜いて遊んでもらえたら嬉しいな! という雰囲気にしました。曲もなんとなく南国っぽく、海賊っぽく、あと生贄っぽくしています。
選択肢を縛る前前作、移動を縛る前作……ときて、次は何縛りにしよっかな……!? と考えた結果、今作は「わからない色を当てるゲーム」となりました。
これは『ゼルダの伝説 夢をみる島DX』に「ゲームボーイカラーでプレイしないと攻略できないダンジョン」というのがあって、赤と青の服を着たキャラクターが並んでいて「アカはどっち?」と聞かれる……という謎解きから着想を得ています。謎解きというか、「ああ、カラーってすごい! 色があるってすごい!」と感じる楽しい演出でした。
最初のカラーじゃない『夢をみる島』を元々めちゃめちゃやり続けていたから、DXが出た時に知らない要素が増えて超わくわくしたんだよなあ。
しかし、今私がそのまんまゲームボーイカラーで遊んだら色がわかるゲームを作っても仕方ありません。
今回はGB Studioのポイント&クリック機能を使いたいな~と思っていたので、『色はわからないけど、別の方法で答えを判別するゲーム』となりました。
『夢島』以外にも指針にした作品はいくつかあり、開発の動機は『古畑任三郎』の大好きなエピソード『赤か、青か』だったり、生贄の儀式がある島のイメージはメル・ギブソンの映画『アポカリプト』や、平沢進氏の楽曲『トビラ島(パラネシアンサークル)』だったりします。
このゲーム、制作期間はデバッグ除いて約3日。ゴールデンウィークの間の平日だった、4/30・5/1・5/2の3日間を制作の期日とし、制限時間を決めて作りました。
これは同じく3日で作ったDON’T SAY YESの再現でもあります。1ヶ月かけたTO:NORTHはちょっとだいぶ色々頑張った作品でしたが、GB Studioの使い方もだいぶ慣れてきたので、『DON’T SAY YESの制作期間で、TO:NORTHくらいゲーム要素のあるやつ』を作るとしたらどうする? というのがコンセプトです。
プレイ時間は5分~10分にしたい。じゃあ登場人物はやっぱり2人に絞って、その2人の掛け合いで進む話だよな。
しかもほとんど場所を移動しない話だ(歩き回れるとマップが増えるので3日の作業コストに収まらない)。
で、AかBのうち答えを選ぶ仕組みで、間違えたら即ゲームオーバー(分岐を作ると作業が倍に増えてしまうため)。
…………これこのままだとそのまんまDON’T SAY YESと同じになるけどどうしよう?
YESとNO以外で絶対に片方がハズレだと納得できる2択ってなんだ? 2択…… 運命の2択といえば、やっぱ『赤か、青か』じゃない?
じゃあこれって爆弾解除の話か。赤か……青か…… あ! ゲームボーイでアカかアオかっていったら『夢島』のアレじゃん! そしたら逆に色わかんないゲームにしよう!
じゃあどうやって色わからせるゲームにするんだ?
そういえばDON’T SAY YESって最初BGMつけない予定だったけど、2作を作った今の私なら、多分3日のうちに曲入れられるよな。曲……音……踊り……音ゲー……うーん……GB Studioで音ゲーを作るのはちょっと厳しそうだが……
……とにかく今は時間がない! 早く話を書かなければ3日に収まらない!
……あ、TO:NORTHは話書くのに1ヶ月くらい頭抱えて10回くらい書き直したけど、DON’T SAY YESはほぼ一発書きだったんだよな。
TO:NORTHはパワードスーツとAIの話を書こうとして、説明が難しいからやめた、という経緯があった。しかしDON’T SAY YESは古代文明の超兵器だの肉体を奪う月の悪魔だの、世界観的にはだいぶやりたい放題だったな。
あれとは別の方向性で、悩まず書ける自分の好きな世界観をやればいいのか……?
うーん……好きな世界観……まだやってないやつ…… 『トビラ島』みたいな、神聖な儀式の話とか……
……あ!! 民を失くした王!! 王の話にしよ!!
そんで古代文明の超兵器はやっぱちょっと欠かせなくて……科学と神話と神聖な儀式がゼラズニイの話みたいにくっついててえ…… 神聖で残酷な儀式といえばやはり生贄……
あ!! 生贄!! 生贄だ!! 絶対生贄にしよう!!!! 王と生贄とスピリット!! これなら多分1日で書ける!!
でもこれ『赤か青か選んで、間違えたらゲームオーバー』なんだよな。そしたら多分王より生贄を主人公にしたほうがよさそうだ。王はもう民を失ってるから選択を誤ってもこれ以上無くすものが何もないけど、生贄は赤か青か選ばされて、それが命に関わるんだろうからな。あ、じゃあこの赤か青かを選ぶ行為そのものが儀式なのか。
それで、生贄はなんか……神聖な儀式のことを全く理解しない外界人なんだけど何故か儀式に適正のある人物で……
ということは、色のない世界で赤か青かがわかる、つまり今の仮案では『音』に詳しい人物で……
島の外からやってくるから、船を持っていて…… たぶんアウトローで…… 古代文明の超兵器を探しに来てて、それでうっかり捕まって生贄に……
なんか多分ちょっと情けないタイプのアウトローなんだろうな、こいつ。例えば本人は海賊と言い張ってるけど実際はコソ泥とかで…… 一体なんで泥棒に…… 音が見えるのに…… 楽器ができるとか……?
あああっ!! なんか繋がった!! これだっっっっ!! ああもう絶対これ!!!! やったーーーっっっっ!!!!
決まってしまえば後の作業はやたら早いことで定評のある私です。おかげさまで間に合ってよかったです。「何かに怯える人がその恐怖を乗り越える」話は、やっぱ書いててめちゃくちゃ楽しいですね!
主人公フジオ(偽名)と島の王様は、どっちも善人でも悪人でもなくて、その道のプロ、つまり王である人です。
この話に出てくる2人はお互いに決して交わらない・全く理解しあわない・何の縁もないはずだった自分の国の王同士なのですが、そういう人たちがなんでだか偶然出会って、お互い不思議な形で影響を及ぼしあい、異なる世界の見方を知る……みたいなやつが好きです。
この作品のテーマは先述の通り『警鐘』なのですが、同じ世界にずっと属していると、今やってる今の世界の自分に慣れちゃうんですよね。自分にとっての当たり前が、よく考えたら別の世界では異なるかもしれない。もし袋小路でにっちもさっちもいかなくなっても、異なる見方で方法を探したら意外な方法で別解があるかもしれない。全ての出来事には、常に複数の面があるはずです。できるだけ多面的にものを見て、考えて、ひとつの当たり前に固執しないようにしたいなあと思います。
ここからは文学フリマ東京40の話
実は、去年の年末休みの時点で「ああ……忙しすぎて作品が作れなかった」……という悔しさを抱えていた紅狐であった。
でも、本当は忙しいからじゃないんだよね。「他にやることがあるから」という理由で目を逸らしてるだけなんだよね。
やればできるんだよーッ!! そしてやっぱり締め切りとしてのイベント出展は、私にとっては時々あると嬉しい良い機会だなあと思います。
もちろんゲームイベントへの出展も楽しいんですが、今回は『重機のキララ』文庫版の再販をしたい! という目標もあり、それに合わせて文学フリマに出展することにしました。募集開始から少し時間の経った2月に申し込んだので出展できるかどうかは抽選で、ハズれたらまあそれはスピリットの導き……というくらいの気持ちでいたのですが、なんと受かった! やったあ!!
2025年、いろいろあってめちゃくちゃ忙しい!! 分裂したい!!!! 忙しいのは嬉しいしいいことなんですが!!
そんな中でも趣味の作品をとにかく何かコンパクトに完成させたくて、気合いと勢いで文学フリマに申し込んだものの……春先は超バタバタしており「個人で出るからにはイベントに合わせて新作を出すぞ」という自分の中の目標を達成できなくて結構凹んでいた。締め切りのためにイベント出てるのに!
しかし文学フリマ、直前にゴールデンウィークがあるではありませんか。やるならここしかない。しかしやれるのか。いや! 忙しくても自分との約束を守りくじけないぞ! どうしても新作を出すんだ!!
ということで仕事は一旦休みとし、集中して開発に取り組むことにしたのだった。ありがとうゴールデンウィーク。ありがとう機会をくださった皆さん!(仕事のほうをお待たせしてしまいすみません!!)
で、家にいるとなんだかんだで仕事を優先してしまうので、MacBookを持って近所のビジネスホテルに閉じこもり、3日間缶詰になって一気に組み込み仕上げたのでした。ありがとうホテルで働いている人たち。ありがとうホテルの近所の『なか卯』。なか卯の持ち帰り丼のホスピタリティすごすぎ。うますぎ。
同じように3日で作ったDON’T SAY YESに比べ、今作は絵も多めに描きました。おかげさまでシーンの見た目もいい感じに賑やかになったと思います。やったね! ペンタブ(iPad)を家に置いてきたので、絵は全部マウスとタッチパッドで描きました。人差し指がめっちゃ痛くなりました。
SOUND OF REDは文学フリマへの出展に合わせて作ったゲームです。ゲームを普段あんまりやらないかたにも、ショートショートのお話を読むように気負わずサクッと「自分にもゲームってクリアできるんだなあ!」という体験をお楽しみいただければ幸いです。
文学フリマ、楽しかったなあ
SOUND OF REDも無事完成して本当によかったし、何よりここ2年ずっと気に病んでいた『重機のキララ』文庫版の再販ができてよかった。待っていてくださった皆様、本当にすみません!! (そして『下巻』を待っていてくださった皆様、重ねてすみません……本当にお詫びしかない…………)
重機のキララはこれまで自分が書いた話の中でも特に思い入れのある話で、あれを完結させて以来なんだか自分の中に強い自信がつきました。今こうして筋道立てて話を書くことができる能力も、ALEX THE UNDEADと重機のキララを完成させた経験がモノをいってるなあ〜と思います。
あと、自分で言うのも何なんだけどキララとオキザリスのことがめちゃくちゃめちゃめちゃ大大大大好きなので、再販したらまたキララではしゃげるのがシンプルにうれしい。
そしてここからは文学フリマで頂いたお土産を自慢するコーナーです。
先に書いておきますが、この先ただただ紅狐がおとなげゼロでおおはしゃぎしているだけです。ご容赦ください。
キララの切り絵
小田さあああああああああん!!!!!!!!!! 見てええええええええええええええ!!!!!!!!!!
※『重機のキララ』の表紙を描いてくださった小田ハルカ先生に見せびらかしたいという意
すごいよーーーーーーーーー!!!!!! い、以前もしかしてMINDHACKの切り絵も作ってVODKAdemo?に贈ってくださってませんでしたか……!? 技術がすごいし絵もすごいカッッコイイよーーーーーーー!!!!
私なんか普通に難しすぎてキララもウニも描けないよ!!!! それが……切り絵よッ!!!! 見てくださいこの『重機』の字の繊細さ。文庫版の装丁で強調している『ひび割れたガラス』の表現まで再現してくださって!! 感謝感激です!!
あと、本読みなのでしおりの形にしてくださっているのが大変に嬉しいです! 文学フリマにぴったり!! センスあるなあ。手の届くところに置かせていただいて、毎日眺めてはニヤニヤさせていただきます。もう本当に嬉しい。しおりとして今読んでる一番大事な本に挟んで毎日定期的に見るか、作業机の横に飾って毎日福利厚生のように見るか悩ましい。いやこんなにカッコイイのにしおりとして使うのもったいない。やっぱり飾ります!!
ランダス(を描いてくださったアイスアイマスク)
何で私がランダス好きなの知ってるのお!??!?
ほ、ほ、ほんとになんで知ってるのお!???!?!?
メトロイドプライムシリーズが好きなこと自体はうっかり時々漏れ出していたような気がするが、ここ数年ランダスのことは公言した記憶がありません。
プライム3が出た当時、あまりにもランダスのことが好きすぎてガラケーの裏にランダスのシールを貼りランダスの二次創作小説を書きランダスのグッズや動画を作り、果ては絵描きの親友に私のためだけのランダスまんがを描いてもらったくらいランダスが好きということをどうしてご存知なのでしょうか。
もしご存知でなかったら、図らずもあまりにもクリティカルヒットです。ありがとうございます!!!!
ていうか差し入れを頂いたときありえないくらい取り乱してしまい大変失礼しました……動揺がすごかった……(尚、文学フリマ当日売り子をしてくれていたのが当の親友だったので、その瞬間は世界に2人しかいない『リアル対面で紅狐にランダスを描いてくれた人』が前と横にいると言うすごい機会になっていたのであった)
当時ランダスの貼ってあるガラケーを落として、警察に遺失物届けを出したら「署に届いてますが、貼ってあるシールっていうのはエヴァンゲリオンですか?」と確認されて無事帰ってきたのもいい思い出です。今ニンテンドーミュージックに最も求められているのはプライムシリーズの音源です。ランダスのテーマ無限ループで聴かせてください。
大はしゃぎここまで
MINDHACKや仕事関係でお世話になっている方も遊びにきてくださったり、たまたま通りがかって表紙の絵をじっ……と眺めたうえで「イイですね。買わせてください」と手に取ってくださったかたがいらしたり、「見本誌コーナーで読んで良かったので買いにきました!」と笑顔で買っていってくださるかたがいらしたり…… とにかく嬉しいこと盛りだくさんの、夢のような一日だった。楽しかったな…… 文学フリマ何がいいって見本誌コーナー制度が大好きなんだよな……
京都の文学フリマも楽しかったけど、東京は広いしホームタウンだし、早川書房のブースで絶対欲しかった扇子・オブ・ワンダーも無事に買えたし、やっぱり出てよかった。抽選当たってよかった。ゲームの展示イベントとはまた別の楽しさがあったなあ。
今後もささやかに『密輸水産』の活動を続けていけたらなあと思っていますので、何卒よろしくお願いいたします! 短いゲームもどんどん作るぞっ!